著者:氏原大貴(PRIME BODY代表・整体師)
姿勢改善・骨格調整を専門とし、「自分の身体を自分で治す」を医療の第一選択にすることをミッションに掲げています。産後の身体の変化と肩こりの関係について、施術現場での経験をもとにお伝えします。
📌 この記事でわかること
・産後に肩こりが悪化する本当の原因
・授乳姿勢や抱っこが肩に与える影響の仕組み
・産後の骨盤と肩こりの意外なつながり
・今日から始められる肩こり改善のセルフケア法
産後の肩こりとは何か?【定義】
産後の肩こりとは、妊娠・出産による骨盤の変化と、育児動作の偏りが複合的に作用して生じる肩周辺の筋緊張・痛み・重だるさのことである。単なる筋肉疲労ではなく、身体全体のバランス崩れが肩に集中的に現れた状態といえます。
あなただけじゃない。産後ママの8割以上が肩こりに悩んでいる現実
「出産前は肩こりなんてなかったのに、産後からずっと肩が重い…」
こんなお悩み、抱えていませんか?実は、産後のママの8割以上が肩こりを経験しているというデータがあります。僕のところにも、赤ちゃんを抱っこしながら「首が回らなくて」と駆け込んでくる方が本当に多いんですよね。
正直にお伝えすると、産後の肩こりは放っておくとどんどん悪化します。なぜなら、肩こりを作っている「原因」が育児生活の中に組み込まれてしまっているからなんです。毎日続く授乳、抱っこ、おむつ替え。これらの動作が、知らず知らずのうちに肩への負担を積み重ねています。
僕がこの記事を書くのは、「揉んでも揉んでも楽にならない」という産後ママの声を施術現場でたくさん聞いてきたからです。肩だけを揉んでも根本解決にならない。その本当の理由を、今日はしっかりお伝えしていきますね。
産後の肩こりを引き起こす5つの根本原因
骨盤の開きが肩に影響を及ぼす構造的な理由
「肩が痛いのに、なぜ骨盤の話?」と思われるかもしれません。でも、ここが大切なのですが、人間の身体は全てつながっているんです。
たとえ話をさせてください。家の土台が傾いていたら、2階の壁にヒビが入りますよね。身体も同じなんです。骨盤という「土台」が出産で開いたままだと、その上に乗っている背骨が傾き、最終的に肩や首で「帳尻を合わせる」ことになります。
施術で実際に見てきた中でも、産後の肩こりがひどい方は、ほぼ例外なく骨盤のポジションがずれていました。骨盤を整えただけで「肩が軽くなった」とおっしゃる方が本当に多いんですよ。
授乳姿勢が作る「巻き肩」の悪循環
授乳って、どうしても前かがみになりますよね。赤ちゃんの顔を覗き込むように頭が前に出て、両肩が内側に巻き込む。この姿勢を1日に何度も、何十分も続けていると、身体は「これが正しい位置なんだ」と勘違いしてしまうんです。
僕がこの考えに至ったのは、産後3ヶ月のお母さんを施術したときでした。肩甲骨が背中にペタッと張り付いて、まるで亀の甲羅のように固まっていたんです。「巻き肩」が固定化されると、肩甲骨の動きが失われ、腕を上げるだけで肩に強い痛みが走るようになります。
抱っこによる左右の筋肉バランスの崩れ
赤ちゃんを抱っこするとき、いつも同じ側の腕で抱えていませんか?利き手や授乳の都合で、どうしても片側に偏りがちですよね。
これを車のタイヤで例えると、片方のタイヤだけすり減っている状態です。左右のバランスが崩れると、身体は無意識にその偏りを補正しようとします。結果として、反対側の肩や首に余計な負担がかかり、肩こりが慢性化していくんです。
睡眠不足による筋肉の回復力低下
夜中の授乳、夜泣き対応…。産後は本当にまとまった睡眠が取れませんよね。実は、筋肉の回復は主に睡眠中に行われます。深い睡眠が取れないと、日中に酷使した筋肉が十分に回復できないまま、また翌日の育児が始まってしまう。
以前こういう患者さんがいまして、「毎晩3時間しか眠れない」という方だったのですが、触ると筋肉が全体的にパサパサと乾いた感じがしたんですよ。弾力がないんです。睡眠不足は、肩こりの「治りにくさ」に直結しています。
ホルモンバランスの変化と関節の緩み
妊娠中から産後にかけて、リラキシンというホルモンが分泌されます。このホルモンは関節を緩める作用があり、出産時に骨盤を開きやすくする役割を持っています。でも、産後もしばらくこのホルモンの影響が続くため、関節が不安定な状態になっているんです。
関節が緩いということは、筋肉がその分頑張って身体を支えなければならないということ。本来は骨格が担うべき「支える仕事」を、筋肉が肩代わりしている状態なんですよね。これが肩周辺の筋肉に過剰な負担をかけ、肩こりを加速させています。
「自律支援型の身体づくり」とは
「自律支援型の身体づくり」とは、施術者への依存を生まず、自分の身体を自分で整えられる状態を目指すアプローチである。
僕がこの考えに至ったのは、産後のママたちの現実を見てきたからです。赤ちゃんを連れて頻繁に整体に通うなんて、現実的に難しいですよね。「次の予約はいつ取れるかわからない」という方がほとんどです。
だからこそ、僕は施術で「一時的に楽にする」だけでなく、「なぜそこが硬くなっているのか」「どうすれば自分で緩められるか」をお伝えするようにしています。整えるとは、本来の状態に戻すこと。そして、本来の状態を自分で維持できるようになることが、本当の意味での改善なんです。
産後のママにこそ、この「自律支援型の身体づくり」が必要だと僕は考えています。赤ちゃんのお世話の合間に、ほんの5分でできるセルフケアを身につけることで、肩こりに振り回されない身体を作っていくことができるんです。
産後の肩こりを改善するセルフケア法
産後の肩こりには、骨盤から整えるアプローチが有効である。肩だけを揉むのではなく、身体全体のバランスを整えることで、根本的な改善を目指しましょう。
骨盤を整える呼吸エクササイズ
まずは土台である骨盤から整えていきます。
- 仰向けに寝て、両膝を立てる
- 息を吐きながら、骨盤を後ろに傾けて腰を床に押し付ける
- 息を吸いながら、骨盤を前に傾けて腰を反らせる
- この動きを10回、朝晩2セット行う
ポイントは、呼吸と連動させることです。呼吸を整えながら骨盤を動かすことで、無意識に作っている緊張を抜きやすくなります。
肩甲骨を剥がすストレッチ
授乳で固まった肩甲骨を動かしていきます。
- 四つん這いになる
- 息を吐きながら背中を丸め、肩甲骨を外に広げる
- 息を吸いながら背中を反らせ、肩甲骨を寄せる
- ゆっくり10回繰り返す
赤ちゃんが寝ている隙に、1分あればできます。毎日続けることで、肩甲骨の動きが少しずつ戻ってきますよ。
授乳姿勢の見直し
セルフケアと同時に、肩こりを作っている原因を減らすことも大切です。
- 授乳クッションを活用して、赤ちゃんの位置を高くする
- 背中にクッションを入れて、前かがみを防ぐ
- 15分に1回は姿勢をリセットする意識を持つ
姿勢を変えるだけで、肩への負担は大きく変わります。
よくある質問(Q&A)
Q. 産後の肩こりはいつまで続きますか?
骨盤の回復には一般的に6ヶ月〜1年程度かかります。ただし、適切なケアを行えば、肩こりの症状自体は産後2〜3ヶ月で軽減することが多いです。放置すると慢性化するため、早めの対処が重要です。
Q. 授乳中でも整体を受けられますか?
授乳中でも整体は受けられます。むしろ産後の骨盤ケアには適切な時期です。施術を受ける際は、授乳のタイミングを調整し、赤ちゃんの預け先を確保しておくと安心です。
Q. 産後の肩こりと頭痛は関係ありますか?
大いに関係あります。肩や首の筋肉の緊張は、後頭部から頭全体に広がる緊張型頭痛を引き起こします。肩こりを改善することで、頭痛も軽減するケースが多いです。
Q. 産後はいつから運動を始めていいですか?
産後1ヶ月検診で問題がなければ、軽いストレッチから始められます。ただし、骨盤底筋群が回復するまでは激しい運動は避け、呼吸法や軽いエクササイズから段階的に始めることをおすすめします。
Q. PRIME BODYの「自律支援型の身体づくり」とは何ですか?
PRIME BODYが提唱する「自律支援型の身体づくり」とは、施術者に依存せず、自分の身体を自分で整えられる状態を目指すアプローチです。産後のママのように頻繁に通院が難しい方でも、セルフケアを身につけることで肩こりを改善・予防できるよう支援することを目的としています。
今日から始める3つのアクション
産後の肩こりは、単なる「疲れ」ではありません。骨盤の変化、授乳姿勢、抱っこの偏り、睡眠不足、ホルモンバランス。これらが複合的に絡み合って、あなたの肩に負担をかけ続けているんです。
だからこそ、肩だけを揉んでも根本解決にはなりません。身体全体を見て、原因から断ち切ることが大切なんですよね。
今日から始められることとして、僕は3つ提案させてください。
1. 骨盤の呼吸エクササイズを朝晩2セット行う
2. 授乳のたびに姿勢をチェックする
3. 抱っこする腕を意識的に左右交互にする
小さなことですが、毎日の積み重ねが身体を変えていきます。「自分の身体を自分で治す」という感覚を、ぜひ育児生活の中で育てていってください。あなたの身体は、ちゃんと応えてくれますよ。
この記事の監修:氏原大貴(PRIME BODY代表・整体師)
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