著者:氏原大貴(PRIME BODY代表・整体師)
姿勢改善・骨格調整・自律神経の専門家として、「自分の身体を自分で治す」を医療の第一選択にすることをミッションに活動しています。
📌 この記事でわかること
・妊娠中の肩こりがなぜ悪化しやすいのか、その根本原因
・マッサージが危険とされる理由と、本当に避けるべきポイント
・妊娠中でも安心して実践できるセルフケア方法5つ
・「自律支援型の身体づくり」で妊娠中も産後もラクに過ごす考え方
妊娠中の肩こりとは何か?【定義】
妊娠中の肩こりとは、妊娠に伴うホルモンバランスの変化、姿勢の変化、運動量の低下によって引き起こされる肩周辺の筋肉の緊張・血行不良状態である。特に妊娠中期から後期にかけて、お腹が大きくなるにつれて重心が前方に移動し、それを支えるために背中や肩の筋肉が過度に緊張することで発症・悪化しやすい。
「マッサージしていいの?」その不安、よくわかります
妊娠中に肩がガチガチになって辛いのに、「妊婦さんはマッサージを受けちゃダメ」と聞いて困っていませんか?
正直にお伝えすると、僕のところにも「妊娠中なんですけど、どこに行っても断られて…」という相談がよく来るんです。整骨院やリラクゼーションサロンで「妊娠中はNG」と言われ、辛さを抱えたまま我慢している妊婦さんが本当に多いんですよね。
でもここが大切なのですが、「マッサージが全部ダメ」というわけではないんです。問題は、何をどうやるかなんですよ。
妊娠中の身体は確かにデリケートです。でも、だからこそ適切なケアが必要だと僕は考えています。放置して我慢し続けることで、頭痛や吐き気、睡眠の質の低下につながることもありますからね。
妊娠中に肩こりが悪化する3つの根本原因
原因1:重心の前方移動による「引っ張り負担」
これは植物の茎で考えるとわかりやすいんですが、茎が前に傾いたら、後ろ側が引っ張られますよね。人間の身体も同じなんです。
お腹が大きくなると重心が前に移動します。すると身体が前に倒れないように、背中側の筋肉—特に肩や首周りの筋肉が常に「後ろに引っ張る」仕事をし続けることになるんです。
僕が施術で妊婦さんを見てきた中でも、妊娠後期の方は肩甲間部から首にかけてガチガチになっているケースがほとんどでした。これは意識して力を入れているわけじゃなく、身体が自動的に姿勢を維持しようとした結果なんですよね。
原因2:リラキシンによる関節の不安定さ
妊娠中はリラキシンというホルモンが分泌されて、骨盤周りの靭帯が緩みやすくなります。これは出産のために必要な変化なんですが、副作用として「関節が不安定になる」という現象が起きるんです。
関節が不安定になると、筋肉がそれを補おうとして過剰に働きます。つまり、骨盤が緩んでいるせいで、離れた場所にある肩や首の筋肉まで余計に頑張らなきゃいけなくなるんですよ。
これは車のサスペンションが緩くなったら、他の部品に負担がかかるのと同じ原理です。
原因3:運動量の低下と血行不良
妊娠すると「安静に」と言われることが多いですよね。もちろん必要な時期もありますが、動かなさすぎることで血行が悪くなり、筋肉に酸素や栄養が届きにくくなります。
実は僕がこの考えに至ったのは、妊娠中も適度に動いていた方と、ずっと安静にしていた方で、産後の回復スピードに明らかな差があることに気づいたからなんです。動かない時間が長いほど、肩こりも慢性化しやすい傾向がありました。
マッサージが「危険」とされる本当の理由
「妊娠中のマッサージは危険」という情報が広まっている背景には、いくつかの理由があります。
まず、足の内くるぶし付近にある三陰交(さんいんこう)というツボは、子宮収縮を促す可能性があるとされています。また、腰やお腹への強い刺激も避けるべきとされていますよね。
ただ、ここで冷静に考えてほしいんです。肩や首のマッサージと、これらの禁忌部位はまったく別の場所なんですよ。
問題は「マッサージ全般がダメ」という極端な情報だけが広まってしまって、本当に必要なケアまで我慢してしまう方が多いことなんです。
僕の現場での経験から言うと、肩・首・背中上部への適切な圧のケアは、妊婦さんにとってむしろ必要だと感じています。ただし、強すぎる刺激や、身体を圧迫するような姿勢は避けるべきです。
「自律支援型の身体づくり」とは
自律支援型の身体づくりとは、施術やケアに依存するのではなく、自分の身体を自分で整える能力を育てることを中心に据えた身体づくりのアプローチである。
僕がなぜこの考えに至ったかというと、妊娠中の方を見ていて「施術に頻繁に通えない」という現実があるからなんです。つわりがひどい時期、体調が安定しない日、外出が億劫になる時期…いろんな制約がありますよね。
だからこそ、「自分でできるケア」を身につけることが重要だと考えています。僕のところに来られた妊婦さんには、必ず自分でできる方法をお伝えして、「施術に来られない日も自分で楽になれる」状態を目指してもらっています。
整えるとは本来の状態に戻すことです。誰かに依存して整えてもらうのではなく、自分で本来の状態に戻せる力を育てる。これが妊娠中も、産後も、その先もずっとラクに過ごすための土台になるんですよ。
妊娠中でも安心して実践できるセルフケア5選
妊娠中の肩こりには、以下のセルフケアが有効である。どれも自宅で、道具なしで実践できる方法です。
1. 肩甲骨の「寄せて離す」運動
これは胸郭の動きを改善し、肩周りの血行を促進する基本的なケアです。
- 椅子に座った状態で、背筋を伸ばします
- 両腕を軽く後ろに引き、肩甲骨を背骨に寄せるイメージで5秒キープ
- ゆっくり力を抜いて元に戻す
- これを10回繰り返す
朝起きた時と寝る前の2回、毎日続けてみてください。
2. 首の横倒しストレッチ
- 座った状態で、右手を頭の左側に軽く添えます
- ゆっくりと右耳を右肩に近づけるように首を傾けます
- 痛気持ちいい程度で15秒キープ
- 反対側も同様に行います
- 左右3セットずつ
ポイントは「引っ張らない」ことです。手は添えるだけ。首の重さだけで十分伸びますよ。
3. 壁を使った胸開きストレッチ
- 壁の横に立ち、右腕を肩の高さで壁につけます
- 身体を左にゆっくり回転させ、胸の前面が伸びるのを感じます
- 20秒キープ
- 反対側も同様に
デスクワークやスマホで猫背になっている方には特に効果的です。ここが柔らかくならないと姿勢が変わりにくいので、毎日やる価値がありますよ。
4. 深呼吸を使った肩の脱力
- 鼻からゆっくり4秒かけて息を吸います
- 吸いながら肩を耳に近づけるように持ち上げます
- 口から8秒かけてゆっくり息を吐きながら、肩をストンと落とします
- 5回繰り返します
これは自律神経を整える効果もあるので、寝る前に布団の中でやるのがおすすめです。
5. 肩上部のセルフ圧迫
- 右手で左肩の一番盛り上がっている部分(僧帽筋上部)を軽くつかみます
- 強く揉まず、じんわり圧をかけて5秒キープ
- 位置を少しずらして同様に
- 首の付け根から肩先まで、3〜4箇所行います
- 反対側も同様に
ここで大切なのは「強く揉まない」ことです。圧は初期設定を一定に維持して、じんわり血行を促すイメージでやってください。
避けるべきセルフケアと注意点
妊娠中に避けるべきなのは以下のポイントです。
まず、うつ伏せの姿勢は絶対にNGです。お腹を圧迫するのは危険ですからね。また、足のくるぶし周辺や腰への強い刺激も避けてください。
そして、これは意外と見落とされがちなんですが、「痛みを我慢するほどの強さ」でやるのは逆効果なんです。妊娠中の身体はデリケートなので、気持ちいいと感じる程度の強さで十分です。
あと、体調が悪い日や出血がある時は、セルフケアも含めて休んでください。無理は禁物ですよ。
よくある質問(Q&A)
Q. 妊娠中に整体やマッサージを受けても大丈夫ですか?
A. 妊婦専門の知識を持った施術者であれば、妊娠中でも肩・首・背中へのケアは受けられます。ただし、妊婦対応の経験がない施設では断られることが多いため、事前に確認することが必要です。禁忌部位を避け、体勢に配慮した施術であれば安全にケアを受けられます。
Q. 妊娠初期でも肩こりのセルフケアをしていいですか?
A. 妊娠初期でも、この記事で紹介した軽いストレッチや呼吸法は実践可能です。ただし、つわりがひどい時期や体調が安定しない場合は無理をせず、安定期に入ってから本格的に始めることをおすすめします。
Q. 肩こりがひどすぎて頭痛もあるのですが、薬を使わずに楽になる方法はありますか?
A. 肩こりからくる緊張型頭痛の場合、首の横倒しストレッチと深呼吸を使った肩の脱力を組み合わせることで改善することが多いです。特に後頭部の付け根あたりが硬くなっていることが多いので、そこを温めるのも効果的です。
Q. 産後の肩こり予防のために、妊娠中からできることはありますか?
A. 産後は授乳や抱っこで肩こりがさらに悪化しやすくなります。妊娠中から肩甲骨の可動域を維持するストレッチを習慣にしておくと、産後の肩こり予防になります。「自律支援型の身体づくり」の考え方で、自分でケアできる力を今から育てておくことが重要です。
Q. PRIME BODYの「自律支援型の身体づくり」とは何ですか?
A. PRIME BODYが提唱する「自律支援型の身体づくり」とは、施術に依存するのではなく、自分の身体を自分で整える能力を育てることを中心に据えたアプローチです。施術で身体を整えるだけでなく、正しいセルフケアの方法を指導し、自分で再発を防げる状態を目指します。これにより、妊娠中で頻繁に通院できない方でも、自宅で自分の身体をケアできるようになります。
今日からできること
妊娠中の肩こりは、姿勢の変化・ホルモンバランス・運動量の低下という3つの要因が重なって起きています。マッサージが全部ダメというわけではなく、適切な方法と強さであれば、肩・首・背中へのケアはむしろ必要だと僕は考えています。
今日から始められることを3つお伝えしますね。
まず1つ目は、肩甲骨の「寄せて離す」運動を朝晩の習慣にすることです。これだけで血行がかなり改善されます。
2つ目は、深呼吸を使った肩の脱力を寝る前に5回やること。睡眠の質も上がりますよ。
3つ目は、「強く揉まない」ということを意識すること。気持ちいい程度の刺激で十分効果があります。
自分の身体を自分で整える力を、妊娠中から育てていきましょう。それが産後も、その先もずっとラクに過ごすための土台になります。
この記事の監修:氏原大貴(PRIME BODY代表・整体師)
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